【発行国】 日本国特許庁(JP)
【公報種別】 特許公報(B2)
【特許番号】 特許第3867247号(P3867247)
【登録日】 平成18年10月20日(2006.10.20)
【発行日】 平成19年1月10日(2007.1.10)
【発明の名称】 融雪透水装置
【国際特許分類】
  E01H  3/04   (2006.01)
【FI】
  E01H 3/04    Z
【請求項の数】 7
【全頁数】 16
【出願番号】 特願2003−384345(P2003−384345)
【出願日】 平成15年10月9日(2003.10.9)
【公開番号】 特開2005−113658(P2005−113658A)
【公開日】 平成17年4月28日(2005.4.28)
【審査請求日】 平成15年10月9日(2003.10.9)
【特許権者】
【識別番号】 503263425
【氏名又は名称】 泉建設株式会社
【住所又は居所】 富山県富山市亀谷591番地1
【発明者】
【氏名】 泉 英之
【住所又は居所】 富山県上新川郡大山町亀谷591番地1 泉建設株式会社内
【審査官】 深田 高義
【参考文献】
【文献】 特開平09−078550(JP,A)
【文献】 特開平06−220804(JP,A)
【文献】 特開平06−146207(JP,A)
【文献】 特開昭53−063721(JP,A)
【文献】 実開昭62−125214(JP,U)
【文献】 特開昭61−049006(JP,A)
【文献】 実開平06−040004(JP,U)
【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H  3/04

【特許請求の範囲】
【請求項1】
 骨材と接着剤とを混合し、前記骨材の粒径3〜15mmと透水率との関係に基づいて目的の透水率2.208〜4.082で形成した透水層と、
 前記透水層中に埋設し、水圧によって孔から水を噴出する有孔管と、
 前記透水層の下方に備え、前記透水層よりも透水率を低くした遮水層とを有し、
 前記透水層の表面側に浸透させて水を張ったような状態で融雪を行う融雪透水装置。
【請求項2】
 請求項1に記載した融雪透水装置であって、
有孔管から水を連続して噴出させ、透水層の表面側に張ったような状態の水が側溝に流れる構成とした融雪透水装置。
【請求項3】
 請求項1または2に記載した融雪透水装置であって、
路面を浸す量を調整する弁を有する融雪透水装置。
【請求項4】
 請求項1から3のいずれか一項に記載した融雪透水装置であって、
 有孔管に流す水の圧力は、位置エネルギーまたは河川の水圧を利用する構成とした融雪透水装置。
【請求項5】
 請求項1から4のいずれか一項に記載した融雪透水装置であって、
 有孔管に接続し、排水路を流れる水を汲み上げて送水するポンプを有する融雪透水装置。
【請求項6】
 請求項1から5のいずれか一項に記載した融雪透水装置であって、
 路床または路盤に隣接してかつ上部を開放して設けられ、透水層または遮水層を流れてきた水を貯めておく貯水部と、
 有孔管に接続し、前記貯水部に貯まった水を汲み上げて送水するポンプとを有し、
 水を循環させて融雪を行う融雪透水装置。
【請求項7】
 請求項1から6のいずれか一項に記載した融雪透水装置であって、
 透水層は、硬い材質の骨材を用いて形成した上層部と、当該上層部よりも軟らかい材質の骨材を用いて形成した下層部とを有する融雪透水装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
 【0001】
 本発明は、人や車が通行可能な路面に降り積もる雪を融かす融雪透水装置に関する。
【背景技術】
 【0002】
 従来、雪は熱すれば融ける性質を利用し、平板に埋めた放熱パイプに水蒸気等の熱媒体を通ずることにより融雪する技術や(例えば特許文献1を参照)、コンクリート体に埋めた発熱体により融雪する技術が知られている(例えば特許文献2を参照)。
  【特許文献1】 特開2002−188108号公報(第4−6頁,図1)
  【特許文献2】 特開2001−193008号公報(第4−7頁,図1−4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
 【0003】
 しかし、従来の技術では放熱パイプに熱媒体を通ずることから、熱源(熱媒体を供給する設備)が必要となるだけでなく、媒体を熱するのに膨大なエネルギーを必要とした。水道水を媒体として融雪を行うには、放熱パイプが地中に埋められる点を考慮すると、水温は雪の温度(一般的には0〜1℃)よりも相当高くなければならない。
 本発明は、路床(または路盤)を舗装できるとともに、熱源を必要とせずに融雪が行えるようにした融雪透水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
 【0004】
(1)課題を解決するための手段(以下では単に「解決手段」と呼ぶ。)1は、図1に模式的に表すように、骨材と接着剤とを混合し、前記骨材の粒径3〜15mmと透水率との関係に基づいて目的の透水率2.208〜4.082で形成した透水層3と、前記透水層3中に埋設し水圧によって孔から水を噴出する有孔管4と、前記透水層3の下方に備え前記透水層3よりも透水率を低くした遮水層5とを有し、前記透水層3の表面側に浸透させて水を張ったような状態で融雪を行うことを要旨とする。
 【0005】
 解決手段1によれば、透水層3は骨材の粒径3〜15mmと透水率との関係に基づいて目的の透水率2.208〜4.082で形成する。骨材(資材や廃材)は素材によって粒径が異なり、同じ骨材であっても破砕や粉砕等を行えば粒径を小さくすることもできる。こうして粒径が大きかったり小さければ、骨材どうしが当たって生ずる隙間も異なる。隙間が広がれば水は浸透し易くなり、逆に隙間が狭くなれば水は浸透し難くなる。よって骨材の粒径と透水率との関係について実験や実地試験等で予め求めておき、目的の透水率からなる透水層3を容易に製造することが可能になる。
 【0006】
 透水層3には有孔管4を埋設しており、当該有孔管4の孔から水圧によって噴出した水が透水層3に浸透すると、路面F(すなわち透水層3の表面)が水で浸される。よって路面Fに水を張ったと同じような状態となり、雪が直接水に触れて融雪することができる。また、有孔管4から水を連続して(または間欠的に)噴出するので、降り続く雪でも確実に融かすことができ、路面Fへの積雪を防止できる。さらに、有孔管4から噴出する水は圧力があるので、透水層3に入り込んだゴミやほこりを洗い流すこともできる。有孔管4に供給する水は噴出するための圧力(すなわち水圧)が必要となるので、ポンプ6等の動力源を利用するほか、標高差や落差等の位置エネルギーを利用したり、河川を流れる水の圧力を利用することができる。遮水層5の透水率を透水層3よりも低くしたので、有孔管4から噴出する水が路床G(または路盤;以下同様である。)に浸透するのを少なく抑えられる。例えば敷設する路床Gの透水率を測っておき、当該透水率と同等の透水率で遮水層5を形成すれば、遮水層5と路床Gとの間に水が溢れるようなことは殆どなくなり、遮水層5に浸透した水はそのまま路床Gに浸透してゆく。
なお、融雪を実現するには路面Fを水で浸す必要があるので、当該路面Fをほぼ平坦に施工する必要がある。そのため有孔管4から噴出可能な水量との関係によっては、坂道のような傾斜した路面Fへの適用は困難となる場合がある。路面Fには、道路(車道および歩道を含む。)、階段、駐車場、歩道橋、橋梁、護岸等が該当する。
 【0007】
(2)解決手段2は、解決手段1に記載した融雪透水装置であって、有孔管から水を連続して噴出させ、透水層の表面側に張ったような状態の水が側溝に流れる構成としたことを要旨とする。
 【0008】
 解決手段2によれば、有孔管から連続して噴出させた水は、透水層の表面側に張ったような状態になり、その後は側溝に流れる。
 【0009】
(3)解決手段3は、解決手段1または2に記載した融雪透水装置であって、路面を浸す量を調整する弁を有することを要旨とする。
 【0010】
 解決手段3によれば、路面Fを浸す量は弁(すなわち制水弁,排水弁)によって調整できるので、適量の水で融雪を確実に行える。
 【0011】
(4)解決手段4は、解決手段1からから3のいずれか一項に記載した融雪透水装置であって、有孔管4に流す水の圧力は、位置エネルギーまたは河川の水圧を利用する構成としたことを要旨とする。
 【0012】
 解決手段4によれば、有孔管4から水を噴出させるには圧力が必要となるが、標高差や落差等の位置エネルギーを利用したり、河川を流れる水の圧力を利用すれば、ポンプ6等の動力源が不要となる。したがって、水圧を得るのに電力を必要としない。
 【0013】
(5)解決手段5は、解決手段1から4のいずれか一項に記載した融雪透水装置であって、有孔管4に接続し、排水路1を流れる水を汲み上げて送水するポンプ6を有することを要旨とする。
 【0014】
 解決手段5によれば、排水路1を流れる水(以下では単に「排水」と呼ぶ。)をポンプ6によって汲み上げて、当該排水を有孔管4の孔から噴出して透水層3の表面(例えば天端)を浸す。ポンプ6を動かすためのエネルギーが必要となるものの、排水の有効利用を図ることができる。
 【0015】
(6)解決手段6は、解決手段1からのいずれか一項に記載した融雪透水装置であって、路床または路盤に隣接してかつ上部を開放して設けられ、透水層3または遮水層5を流れてきた水を貯めておく貯水部2と、有孔管4に接続し前記貯水部2に貯まった水を汲み上げて送水するポンプ6とを有し、水を循環させて融雪を行うことを要旨とする。
 【0016】
 解決手段6によれば、貯水部2は路床Gに隣接してかつ上部を開放して設けられる。透水層3や遮水層5(特に表面)を流れてきた水は貯水部2に貯めておく。貯まった水はポンプ6で汲み上げ、当該水を有孔管4の孔から噴出して透水層3の表面を浸す。すなわち公園の噴水のように水を循環させ、融雪を行う。ポンプ6を動かすためのエネルギーが必要となるものの、雪解け水を利用して循環させれば外部から水を調達しなくて済む。
 【0017】
(7)解決手段7は、解決手段1から6のいずれか一項に記載した融雪透水装置であって、透水層3は、硬い材質の骨材を用いて形成した上層部と、当該上層部よりも軟らかい材質の骨材を用いて形成した下層部とを有することを要旨とする。
 【0018】
 解決手段7によれば、硬い材質の骨材には、例えばコンクリート片,プラスチック片,石類(砂,砂利,石片等を含む)などが該当する。軟らかい材質の骨材には、例えば籾殻,ゴムチップ,木屑,ウッドチップ等が該当する。硬い材質の骨材を用いた上層部は、車や人が通行しても変形しにくい。軟らかい材質の骨材を用いた下層部は、クッションの役目を果たし、路床Gの表面の凹凸を吸収して路面Fをほぼ平坦にすることができる。特に、歩道に融雪透水装置を施工(または設置)した場合には、上述したクッション性により歩くときに足にかかる衝撃を少なく抑えるので、歩きやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
 【0019】
 次に、本発明を実施するための最良の形態について、実施例に従って説明する。
【実施例1】
 【0020】
 実施例1はポンプを用いて水圧を得る例であって、図2から図9までを参照しながら説明する。なお、透水層3に相当する部材にはほぼ平板状の透水ブロック(「透水パネル」とも呼ぶ。)を適用し、遮水層5に相当する部材には土間コンクリートおよび遮水壁を適用し、連結部に相当する部材には連結部材を適用する。
 【0021】
〔透水層の製造〕
 まず、透水ブロックの製造工程(製造方法)について、フローチャートで表した図2を参照しながら説明する。なお、土間コンクリートおよび遮水壁の施工工程については、周知のコンクリートの施工工程と同様であるので、図示および説明を省略する。
 【0022】
 図2に示す製造工程において、透水ブロックを製造するにあたって骨材の粒径と透水率との関係が分かっていない場合には(ステップS10でNO)、実験や実地試験等を行なって骨材の粒径と透水率との関係を導き出しておく〔ステップS12〕。
実験例としては、試料となる骨材を箱に投入し、箱の上側から一定容量(ミリリットル)の水を注ぐ。そして、骨材の上面から水が無くなるまでに要する浸透時間(秒)を複数回計測し、その計測結果の平均値から流量(ミリリットル/秒)や浸透速度(センチメートル/秒)を算出する。すなわち、算術式〔流量=(注いだ水の容量)/(浸透時間),浸透速度=(流量)/(箱の断面積)〕に基づいて求める。こうして求めた浸透速度は透水率に相当する。骨材には、資材(主に工業用資材)を用いてもよく、廃材(自然廃材および工業廃材を含む。)を用いてもよい。例えば、籾殻,木屑,ウッドチップ,砂利等を骨材として用いた場合の試験結果を表1に示す。
 【0023】
  【表1】

 【0024】
 上記試験結果によれば、砂利は粒径が小さくなるほどに透水率は小さくなる。これは粒径が大きくなると、骨材どうしが当たることで生ずる隙間も広がって、透水率は大きくなる。逆に粒径が小さくなると、隙間は狭くなって、透水率も小さくなる。
 これに対して、籾殻と木屑とでは粒径は異なるものの、近い透水率になっている。砂利との違いは素材の弾力性であることから、籾殻は粒径が小さくてもある程度の隙間を確保することで透水率を高めていると考えられる。
 【0025】
 ステップS16の実験や実地試験等によって骨材の粒径と透水率との関係を導き出すか、あるいは当該関係を既に導き出していたときは(ステップS10でYES)、骨材が目的とする透水率に見合う粒径になっているかを検査する〔ステップS14〕。もし、目的の透水率に見合う粒径であれば(YES)、そのまま用いる。一方、目的の透水率に見合う粒径でないときは(NO)、当該透水率に見合う粒径になるまで粉砕機(あるいは破砕機)を用いて骨材を砕く〔ステップS16〕。こうして適切な粒径の骨材を得る。
 【0026】
 次に、骨材と接着剤とを所定の割合で混合する〔ステップS18〕。骨材どうしを接着させる接着剤には、例えばエステル系高分子ポリマーとメタノール溶液との混合物を用いるのが望ましい。この場合には、植物の生育にほとんど障害を与えず、自然環境を保全することができる。混合比率は、骨材(素材)の構造や水分吸収率等の影響を受けるため、予め骨材ごとに実験等を行なって設定しておく。上述した表1に示した骨材についての混合比率(すなわち骨材重量:接着剤重量)は、例えば次の表2のようになる。
 【0027】
  【表2】

 【0028】
 上述したような混合比率で骨材と接着剤とを混合し、その混合物を目的形状(例えばブロック形状,柱形状,円形状等)の型枠に入れて形成し〔ステップS20〕、硬化して完成させた透水ブロックを取り出す〔ステップS22〕。一定形状に形成しない場合には、ステップS18で得た混合物を土間コンクリートおよび遮水壁に流し込んで硬化させてもよい。他に同一形状の透水ブロックを製造するときは(ステップS24でYES)、骨材と接着剤の混合から行う場合には実線で示すようにステップS18から繰り返し、混合物が多くあって形成のみで済む場合には二点鎖線で示すようにステップS20から繰り返す。この繰り返しによって、必要数量の透水ブロックを製造することができる。
 なお、遮水層(本例では遮水コンクリートおよび遮水壁)を上述した透水ブロックと同等の部材で製造することも可能であるが、透水ブロックよりも透水率を低く設定する必要があり、敷設する路床Gの透水率と同等の透水率に設定するのが望ましい。
 【0029】
 上述した製造工程によって透水ブロックを製造できるが、大量に製造したい場合や、透水率や形状等の精度を一定範囲に維持したい場合には、製造装置を用いて製造するのがよい。製造装置の構成例について、図3を用いて説明する。当該図3には、製造装置の構成例をブロック図で表す。なお、骨材を砕く機械としては粉砕機や破砕機等があるが、ここでは粉砕機を用いた例を説明する。
 【0030】
〔透水層の製造装置〕
本製造装置は、骨材を一時的に貯留するホッパー20や、当該ホッパー20から送り込まれた骨材を所定粒径に粉砕する粉砕機22、接着剤を注入する注入機24、粉砕機22から送られた骨材と注入機24から注入された接着剤とを混合する混合機26、混合機26から送られた混合物を型枠に入れて形成する成形機28、これらの機器の作動を個別に制御する製造制御装置10などを有する。
 【0031】
 製造制御装置10は、透水ブロックの製造を司るべくCPU(プロセッサ)12を中心に構成する。当該製造制御装置10は、製造制御プログラムや所要のデータ等を格納したROM14、処理時間等のような一時的データを記憶可能なRAM16、その他には入出力処理回路や通信制御回路などを備える。CPU12は、ROM14に格納された製造制御プログラムを実行して透水ブロックの製造を実現する。当該製造制御プログラムには、上述した図2の製造工程を実現するプログラムや透水ブロックの製造に必要な他のプログラムを含む。上述した骨材の粒径と透水率との関係や、骨材と接着剤との混合比率、混合や形成に要する時間等に関するデータ(以下では単に「製造用データ」と呼ぶ。)は、ROM14やRAM16等の記憶部に記憶する。その他の構成要素については周知の技術と同様であるので、図示および説明を省略する。
 【0032】
 まず製造に先立つ準備として、ホッパー20には骨材を貯留させ、注入機24には接着剤を充填しておき、製造用データをROM14(またはRAM16等)に記憶しておく。図2との関係では、製造制御装置10は次のように制御する。すなわち、ホッパー20から骨材を送り出した後、粉砕機22によって目的の粒径になるまで当該骨材を粉砕する(ステップS16)。混合比率に従った割合で骨材と接着剤とを混合機26に投入し、骨材のほぼ全体が接着剤でコーティングされるのに適切な時間だけ混合する(ステップS18)。こうしてできた混合物を成形機28に投入し、硬化させるのに適切な時間をかけて形成を行い(ステップS20)、硬化した後に取り出す(ステップS22)。透水ブロックの場合は有孔管を埋め込む必要があるので、ステップS18によってできた混合物を成形機28に投入する前に、所定の位置に有孔管を配置する必要がある。そして、上述した{(1)骨材の粉砕および接着剤の注入→(2)混合→(3)形成→(4)取り出し}のプロセスを繰り返すと、有孔管を埋設した透水ブロックを必要数量だけ製造することができる。
 【0033】
 なお、可燃性の骨材(例えば籾殻,木屑,ウッドチップ等)を用いたとしても、当該骨材のほぼ全体を接着剤でコーティングすれば、硬化後は素材自体が表面に表れない。そのため、コーティングした接着剤が熱によって融解されるまでの時間(あるいはその温度)までは、炎をさえぎって燃えにくくなる。
 また、製造制御装置10では透水ブロックと同等の部材によって遮水層(本例では遮水コンクリートおよび遮水壁)を必要数量だけ製造することも可能である。
 【0034】
〔透水ブロックを用いた施工例〕
 上述のようにして製造した透水ブロックを用いて融雪透水装置を施工し、融雪を実現する例について、図4図5を参照しながら説明する。ここで図4(A)には路床を施工した状態を縦断面図で示し、図4(B)には路床上に遮水コンクリートおよび遮水壁を敷設した状態を縦断面図で示し、図4(C)には遮水コンクリート上に透水ブロックを敷設した状態を縦断面図で示す。また施工後の融雪透水装置について、平面図を図5(A)に示し、図5(A)におけるB−B線縦断面図を図5(B)に示す。
 【0035】
 まず、従前からある(または新たに施工した)側溝30に隣接する地面32を掘り下げて、図4(A)に示すような路床34を施工する。この施工にあたっては、土間コンクリートを敷設する部位の路床34は、側溝30に向かって下り傾斜させる(例えば1〜2%程度の水勾配)。こうすれば、土間コンクリートの施工厚みを均一にできる。
 【0036】
 路床34を施工し終えた後は、図4(B)に示すように遮水層となる土間コンクリート36aおよび遮水壁36bを施工する。土間コンクリート36aは上記路床34と同様にして側溝30に向かってやや下り傾斜させ、遮水壁36bの天端は水平となるように仕上げるのが望ましい。土間コンクリート36aおよび遮水壁36bのうち一方または双方は、通常のコンクリート(透水率がゼロ)で施工してもよく、透水ブロックより低く設定した透水率からなる透水コンクリートで施工してもよい。
 【0037】
 養生期間を経てコンクリートが固化した後は、図4(C)に示すように多数の孔から水を噴出可能な透水管38や、当該透水管38と取水ポンプ40とを接続する導水管50、側溝30から水を汲み上げて当該導水管50を通じて透水管38に送り込む取水ポンプ40、噴出しなかった水を側溝30に排水する排水管48などのような水廻り部材を設置する。配管(透水管38,導水管50および排水管48など)の破損等を防止するためには、鉄管やHI−VP管などのように凍結に強い材質のものを用いるのが望ましく、融雪を行う冬季には絶えず水を流すのが望ましい。側溝30には管を通すので、予め側溝30に孔をあけておくのが望ましい。当該透水管38を配管する際には、図5(A)に示すように透水管38への送水量を調整する制水弁52と、側溝30への排水量を調整する排水弁42とを設置する。
 【0038】
 水廻り部材の設置を終えた後は、コンクリート打ちと同様に、土間コンクリート36a上に透水ブロック46を施工する。すなわち、目的の透水率が得られるように所定の割合で混合した混合物(骨材と接着剤の混合物;図2のステップS18を参照)を流し込み、遮水壁36bの天端とほぼ同一水準になるようにならす。透水ブロック46の天端と透水管38との距離は、一定の距離(例えば2センチメートル)以上を確保するのが望ましい。固化期間を経ると透水ブロック46が固化し、こうして全施工を終えて完成した融雪透水装置44の例を図5に示す。
 【0039】
 図5(A)に示す例では、融雪透水装置44の透水管38は梯子状に配管している。配管方法は任意であって、当該梯子状以外の形状(例えば格子状,渦巻き状,鋸刃状、矩形状など)で配管してもよい。こうして施工した融雪透水装置44について、取水ポンプ40を作動させ、側溝30から汲み上げた水を図5(A)の矢印に沿って透水管38に流し、図5(B)の矢印のように透水管38の孔から噴出させる。噴出した水は透水ブロック46に浸透してゆき、当該透水ブロック46の天端(すなわち路面F)を浸すようになる。制水弁52および排水弁42を適切に操作することにより、降雪量に応じて路面Fを浸す量を調整することができる。すなわち降雪量が多ければ路面Fを浸す量を多くし、降雪量が少なければ路面Fを浸す量を少なくすれば、適量の水で融雪を確実に行える。
 【0040】
 なお、本例では骨材と接着剤の混合物を土間コンクリート36aおよび遮水壁36bに流し込んで硬化させる工法を適用したが、透水管38を埋設した透水ブロック46(図2のステップS22)を土間コンクリート36aに貼り付ける工法を適用してもよい。後者の工法では現場で固化させる期間が不要となるので、工期を短縮することができる。
 【0041】
 また、複数の透水ブロックを用いて上述した透水ブロック46を構成する場合には、図6から図8に示すように連結部材54を用いて連結するのが望ましい。すなわち図6(A)に示すように、まず土間コンクリート36a上に透水ブロック46a,46bを敷いておく。その後、透水ブロック46a,46bの相互に対応した切欠き56b(あるいは切欠き56aや切欠き56c等)に対して、連結部材54を上方から矢印のように下ろして嵌める。こうして透水ブロック46a,46bを嵌合させた状態を図6(B)に示す。
 二以上の透水ブロック46を連結するのに用いる連結部材54は「接合ジョイント」とも呼ばれ、例えば図7に示すように平面が水中メガネを模した形状をなす板状の部材である。これに対して連結には用いず、透水ブロック46の連結部材54部分の埋め合わせには、端片部材58を用いる。図8には、三行三列に並べて敷いた透水ブロック46に対して12個の連結部材54(クロスハッチで図示)を用いて連結した例を示す。
 【0042】
 さらに、透水ブロック46を二層構造にする例としては、図9に示すように上層部60と下層部62とで異なる硬度の骨材を用いて構成してもよい。例えば上層部60には硬い材質の骨材{例えばコンクリート片,プラスチック片,石類(砂,砂利,石片等を含む。)など}を用いて形成し、下層部62には当該上層部60よりも軟らかい材質の骨材{例えば籾殻,ゴムチップ,木屑,ウッドチップなど}を用いて形成する。こうすれば、上層部60の硬さによって、車や人が通行しても変形しにくくなる。また、下層部62のクッション機能によって、路床Gの表面の凹凸を吸収して路面をほぼ平坦にすることができる。本例では透水ブロック46を二層構造としたが、透水ブロック46を上層部60と同様に硬い材質の骨材を用いて形成し、土間コンクリート36aを下層部62と同様に軟らかい材質の骨材を用いて形成した場合も同様の作用効果が得られる。
 なお、上述したような二層構造に限らず、必要であれば透水率および硬度のうちで一方または双方を変えて三層構造以上の多層構造としてもよい。いずれの場合でも水を浸透させて路面Fを浸すことにより、融雪を行うことができる。
 【0043】
 上述した実施例1によれば、次のような各効果を得ることができる。
(a1)骨材と接着剤とを混合して所定の透水率で形成した透水ブロック46(透水層3に相当)と、透水ブロック46中に埋設して孔から水を噴出する透水管38(有孔管4に相当)と、透水ブロック46の下方に備えて透水ブロック46よりも透水率を低くした土間コンクリート36aおよび遮水壁36b(遮水層5に相当)とを有し、透水ブロック46の表面(すなわち路面F)に浸透した水によって融雪を行う構成とした{図5を参照}。この構成によれば、路床Gの舗装とともに、熱源を必要とせずに融雪を行える。すなわち透水管38の孔から噴出した水が透水ブロック46に浸透してゆき、当該透水ブロック46の天端たる路面Fが水で浸される。こうなると路面Fに水を張ったと同等の状態となり、雪が直接水に触れて融ける。また、制水弁52や排水弁42を調整すれば透水管38から水を連続して(または間欠的に)噴出させることができるので、降り続く雪でも確実に融かすことができ、路面Fへの積雪を防止できる。さらに、透水管38から噴出する水によって、透水ブロック46に入り込んだゴミやほこりを洗い流すこともできる。土間コンクリート36aおよび遮水壁36bの透水率を透水ブロック46よりも低くしたので、透水管38から噴出する水が路床Gに浸透するのを少なく抑えられる。もし路床Gと同等の透水率で土間コンクリート36aおよび遮水壁36bを形成すれば、土間コンクリート36aおよび遮水壁36bと路床Gとの間に水が溢れるようなことは殆どなくなり、土間コンクリート36aおよび遮水壁36bに浸透した水はそのまま路床Gに浸透してゆく。
 【0044】
 また、従来のようにノズルから散水して融雪する方法に比べると、次のような効果を得ることができる。第1に、水は飛散せずに透水ブロック46に留まるので、水温低下が少なく、より多くの雪を融かすことができる。第2に、透水ブロック46の表面(路面F)を濡らすものの、散水のようには広がらないので、走行は歩行の妨げが少ない。第3に、透水ブロック46に浸透した水は、晴天下で道路に散水した水に比べて蒸発しにくいので、路面Fの焼け(ひいてはヒートアイランド現象)を防止して、涼しい環境を提供することができる。第4に、多雨時(例えば梅雨時)には排水弁42を大きく開けることにより排水を促して、路面Fをドライに維持することも可能になる。
 【0045】
 なお、融雪を実現するには路面Fを水で浸す必要があるので、当該路面Fをほぼ平坦に施工する必要がある。そのため透水管38から噴出可能な水量との関係によっては、坂道のような傾斜した路面Fへの適用は困難となる場合がある。路面Fには、道路(車道および歩道を含む。)、階段、駐車場、歩道橋、橋梁、護岸等のいずれでも適用できる。
 【0046】
(a2)透水管38に接続し、側溝30(排水路1に相当)を流れる水を汲み上げて送水する取水ポンプ40(ポンプ6に相当)を有する構成とした。透水管38に供給する水は噴出するための圧力が必要となるので、取水ポンプ40の動力源として利用した。この構成によれば、側溝30を流れる排水を取水ポンプ40によって汲み上げて、透水管38の孔から噴出して路面Fを浸す。したがって、排水の有効利用を図ることができる。
一方、平野部では高低差による位置エネルギーを活用することができないことから、河川や湖等のような遠方から引水せざるを得ない。しかし、引水のために管路を設置するのは莫大なコストが必要となり、経済的でない。その反面、取水ポンプ40は安価で調達することができるので、結果として全体の施工コストを低く抑えることができる。
なお、取水ポンプ40を作動させるための電力源は、自然エネルギーを利用した発電装置(例えば風力発電機や太陽電池等)から得るのが望ましい。凍結防止等のために常に透水管38に水を流す場合には、管内に内蔵したプロペラを発電機に接続することにより、取水ポンプ40の作動に必要な電力の一部を賄うこともできる。
 【0047】
(a3)土間コンクリート36a上に敷く複数の透水ブロック46どうしを連結する連結部材54(連結部に相当)を有する構成とした{図6図8を参照}。土間コンクリート36a上に敷く複数の透水ブロック46どうしを連結部材54で連結すればズレが生じないので、透水ブロック46相互間に砂(いわゆる砂目地)を注入してズレを防止する必要もない。したがって、複数の透水ブロック46の施工に必要な手間と時間を少なく抑えられる。なお、連結部材54を取り外し可能な構造(例えば切欠き56のナット形状に対するボルト形状)に形成すれば、透水ブロック46の移動や取り替えが容易になる。ズレ等のような不都合がない場合には、透水ブロック46を土間コンクリート36aに貼り付けてもよく、施工に必要な手間と時間が一層少なく抑えられる。
 【0048】
(a4)骨材の粒径3〜15mmと透水率との関係に基づいて目的の透水率2.208〜4.082で透水ブロック46を構成した{図2,表1を参照}。この構成によれば、骨材(資材や廃材)は素材によって粒径が異なり、当該粒径の相違によって透水ブロック46の透水率を異ならせることができる。よって骨材の粒径と透水率との関係について実験や実地試験等で予め求めておき、目的の透水率からなる透水ブロック46等を容易に製造することが可能になる。
 【0049】
(a5)透水ブロック46は、硬い材質の骨材を用いて形成した上層部60と、当該上層部60よりも軟らかい材質の骨材を用いて形成した下層部62とを有する構成とした{図9を参照}。この構成によれば、硬い材質の骨材を用いた上層部60は、車や人が通行しても変形しにくい。軟らかい材質の骨材を用いた下層部62は、クッションの役目を果たし、路床G表面の凹凸を吸収して路面Fをほぼ平坦にすることができる。特に歩道に融雪透水装置44を施工(または設置)した場合には、上述したクッション性により歩くときに足にかかる衝撃を少なく抑えるので、歩きやすくなる。
【実施例2】
 【0050】
 実施例2は雪を融かす水を循環させる例であって、図10を参照しながら説明する。当該図10には、図5に代わる施工例を示す。融雪透水装置44は実施例1と同様であり、図示および説明を簡単にするために実施例2では実施例1と異なる点について説明する。よって実施例1で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
 【0051】
 図10に示す施工例が図5の施工例と異なるのは、側溝30に代えて貯水溝64を用いた点である。当該貯水溝64には、路面Fから溢れて流れた水を貯水溝64に逃がす凹部66を備える。取水ポンプ40を作動させると、貯水溝64から汲み上げた水を図10(A)の矢印に沿って透水管38に流し、図10(B)の矢印のように透水管38の孔から噴出させる。噴出した水は透水ブロック46に浸透してゆき、当該透水ブロック46の天端(すなわち路面F)を浸すようになる。路面Fから溢れて流れる水は凹部66を通じて貯水溝64に戻し、貯めた水を取水ポンプ40で汲み上げて透水管38から噴出させるので、融雪に必要な水を循環して使用することができる。
 本例では路面Fから溢れた水は凹部66を通じて貯水溝64に戻す構成としたが、貯水溝64にあけた小孔を通じて貯水溝64に戻す構成としてもよい。
 【0052】
 上述した実施例2によれば、次のような各効果を得ることができる。
(b1)透水ブロック46や土間コンクリート36aを流れてきた水を貯めておく貯水溝64(貯水部2に相当)と、透水管38に接続し貯水部2に貯まった水を汲み上げて送水する取水ポンプ40とを有し、水を循環させて融雪を行う構成とした{図9を参照}。この構成によれば、公園の噴水のように、水を循環させて融雪を行うことができる。取水ポンプ40を動かすためのエネルギーが必要となるものの、雪解け水を利用して循環させれば外部から水を調達しなくて済む。
(b2)その他の要件,構成,作用,作動結果等については実施例1と同様であるので、当該実施例1と同様の効果が得られる{上述した事項(a1)〜(a5)を参照}。
【実施例3】
 【0053】
 実施例3は位置エネルギーや河川の水圧を利用して透水管38に流す水の圧力を得る例であって、図11を参照しながら説明する。当該図11(A)には位置エネルギーを利用する例を示し、図11(B)には河川の水圧を利用する例である。融雪透水装置44は実施例1と同様であり、図示および説明を簡単にするために実施例3では実施例1と異なる点について説明する。よって実施例1で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
 【0054】
 図11(A)に示すように、透水管38に接続して水を送る導水管50は、標高差H(落差)だけ上方にあるダム68(または湖,池,河川等)から導水するように敷設する。導水管50や透水管38の直径にもよるが、標高差Hは10メートル程度もあれば噴出に必要な水圧が得られる。よって、ビル等の建築物に水を貯めておくタンクを設け、当該タンクに導水管50を接続して水圧を確保することもできる。また、建築物に設けられた雨樋を導水管50の一部として利用することも可能である。
 【0055】
 図11(B)に示すように、導水管50の取水口50aを河川70に設置する。一般的に河川70は川底から川面に近付くにつれて流れが速くなることから、川面に近い位置のほうが高い水圧を得やすい。よって、河川70の川面に近い位置に取水口50aがくるように設置するのが望ましい。また、二点鎖線で示すように取水口50aの端部側に近付くつれて口径が広がるように(すなわちラッパ状に)導水管50を構成すれば、管内を流れてゆくにつれて口径が小さくなことから水圧が高まるので、傾斜が緩やかな河川70でも所望の水圧を得ることが可能になる。したがって、上流側の河川70から導水するのが望ましいが、下流側の河川70であっても水圧を確保することが可能である。
 【0056】
 上述した実施例3によれば、次のような各効果を得ることができる。
(c1)透水管38に流す水の圧力は、位置エネルギーまたは河川70の水圧を利用する構成とした{図11を参照}。この構成によれば、標高差や落差等の位置エネルギーを利用したり、河川70を流れる水の圧力を利用して透水管38の水圧を確保するので、取水ポンプ40等の動力源が不要となる。したがって、動力源が不要となる分だけ施工コストを低く抑えることができ、電力が不要となるのでランニングコストもかからない。
(c2)その他の要件,構成,作用,作動結果等については実施例1と同様であるので、当該実施例1と同様の効果が得られる{上述した事項(a1)〜(a5)を参照}。
【他の実施例】
 【0057】
 以上では、本発明を実施するための最良の形態について実施例に従って説明したが、本発明は当該実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。例えば、次に示す各形態を実施することもできる。
 【0058】
(d1)上述した実施例1,2,3では、土間コンクリート36a上に敷設する透水ブロック46の透水率をほぼ一定にした{図5図10を参照}。この形態に代えて、側溝30(または貯水溝64)に近い透水ブロック46ほど透水率を低くするように構成してもよい。例えば図12に示すように、透水ブロック46を透水ブロック46c,透水ブロック46dおよび透水ブロック46eによって構成する。この場合、透水ブロック46c,透水ブロック46d,透水ブロック46eの順番に透水率が高まるように施工する。こうすれば、透水管38から噴出した水は側溝30へ流れてゆくにつれて緩やかになるので、ほぼ均一の透水率からなる透水ブロック46に比べて水勾配を高めることができる。したがって、坂道などのような傾斜した道路等にも適用することが可能になる。
 【0059】
(d2)上述した実施例1,2,3では、透水ブロック46の天端(すなわち路面F)がほぼ平坦となるような道路等に適用した{図5図10等を参照}。この形態に代えて、透水ブロック46を階段状に設けることにより、階段に適用してもよい。例えば図13に示すように、透水ブロック46を段差のある透水ブロック46f,透水ブロック46gおよび透水ブロック46hによって構成する。本例では簡単のために三段に形成したが、四段以上の必要な段数を形成する場合も同様である。また、取水ポンプ40によって透水管38に送水することで揚水する構成としたが、最上段側に水源がある場合には、当該水源から導水することにより透水ブロック46を水で浸透させる構成としてもよい。この場合には取水ポンプ40等の動力源が不要になるので、施工コストおよびランニングコストを低く抑えることができる。
 【0060】
(d3)上述した実施例1,2,3では、透水層3(透水ブロック46)と遮水層5(土間コンクリート36aおよび遮水壁36b)とを別体に形成した{図4図5を参照}。この形態に代えて、透水層3と遮水層5とを一体に形成してもよい。図9に示す例を用いれば、上層部60を透水層3とし、下層部62を遮水層5とする。一体化された透水層3および遮水層5を用いて融雪透水装置44を施工すると、作業工程が少なくなるので、工期を短縮することができる。
 【0061】
(d4)上述した実施例1,2,3では、透水ブロック46等の製造に用いる骨材は簡単のために一種類を適用したが、複数種類の骨材を混在させたものを骨材として用いてもよい。例えばコンクリート片とゴム片を混在させると、コンクリート片の硬さとゴム片の弾力性とを兼ねた透水ブロック46等を製造することが可能になる。このように、路床Gの舗装を施す場所等に応じて混在させる骨材の種類を異ならせて透水ブロック46等を製造すれば、融雪が可能な路面Fの舗装を簡単に行えるようになる。
 【0062】
(d5)上述した実施例1,2,3では、側溝30(または貯水溝64)から汲み上げた水をそのまま透水管38に送水する構成とした{図5図10を参照}。この形態に代えて、取水ポンプ40や融雪透水装置44(透水ブロック46,土間コンクリート36a)などに熱源(ヒーター)を備える構成としてもよい。こうすれば路面Fを浸す水の温度を上げることができるので、融雪をより効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
 【0063】
  【図1】 本発明の構成を模式的に示す縦断面図である。
  【図2】 製造工程を説明するフローチャートである。
  【図3】 製造装置を説明するブロック図である。
  【図4】 路床上に施工する例を示す縦断面図である。
  【図5】 融雪透水装置の一施工例を示す図である。
  【図6】 連結部材を用いて透水ブロックを連結する例を示す図である。
  【図7】 連結部材および端片部材の各例を示す斜視図である。
  【図8】 路床上に敷き詰めて舗装した状態の透水ブロックを示す平面図である。
  【図9】 透水ブロックを二層構造にする例を示す図である。
  【図10】 融雪透水装置の一施工例を示す図である。
  【図11】 位置エネルギーや河川の水圧を利用して透水管に流す水の圧力を得る例を示す図である。
  【図12】 融雪透水装置の一施工例を示す図である。
  【図13】 融雪透水装置の一施工例を示す図である。
【符号の説明】
 【0064】
 1 排水路
 2 貯水部
 3 透水層
 4 有孔管
 5 遮水層
 6 ポンプ
 F 路面
 G 路床(または路盤)
 10 製造制御装置
 12 CPU
 14 ROM
 16 RAM
 20 ホッパー
 22 粉砕機
 24 注入機
 26 混合機
 28 成形機
 30 側溝(排水路)
 32 地面
 34 路床(または路盤)
 36a 土間コンクリート(遮水層)
 36b 遮水壁(遮水層)
 38 透水管(有孔管)
 40 取水ポンプ(ポンプ;動力源)
 42 排水弁
 44 融雪透水装置
 46(46a,46b,…) 透水ブロック(透水層)
 48 排水管
 50 導水管
 52 制水弁
 54 連結部材(連結部)
 56(56a,56b,…) 切欠き
 58 端片部材(連結部)
 60 上層部(透水層)
 62 下層部(透水層)
 64 貯水溝(貯水部)
 66 凹部
 68 ダム
 70 河川

【図面】
【図1】


【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】


【図12】


【図13】